baby's-breath 第02話 異世界キト(1) 白い空間をしばらく漂った後、ふと背中に何かを感じて、優花はそっと目を開けた。 手を動かすと硬くて冷たいものにあたる。なんだろうと数回撫でてみると、それは大理石のように磨かれた石の床だと気付いた。(なに? ってか、ここどこ?) 横たわっていた... 2011.11.20 baby's-breath
baby's-breath 第01話 呼ぶ声(4) 赤くなった慎一を涼子とまどかの二人でからかっている。 涼子とまどか二人を相手に何か返すから、次から次へとやりとりを続けることになるのだ。だからある程度のところで切り上げたほうが延々続かなくて済む。 優花にとっていつものことといえばいつものこ... 2011.11.19 baby's-breath
baby's-breath 第01話 呼ぶ声(3) 早足だったせいか、学校にはいつもの時間通り着いた。 ついでに保健室へと行くくらいの時間があったので、優花は慎一に連れられて保健室へと向かう。 優花は小さな怪我をよくするので保健室の常連だった。保健室の先生と気軽に挨拶してから怪我の話をすると... 2011.11.19 baby's-breath
baby's-breath 第01話 呼ぶ声(2) 朝食を食べ終わるといつの間にかに不安は消え、機嫌よく家を出た。行ってきます、という声と同時に玄関のドアを開ける。「あ、おはよう、シンちゃん」「よっ、優花」 家の入口の前には制服と思われる格好の男の子が立っている。 彼は優花にとっては隣に住む... 2011.11.19 baby's-breath
baby's-breath 第01話 呼ぶ声(1) 彼女は気づくとそこは何もない空間に立っていた。 白く、そしてところどころわずかに虹色に輝く空間に。 いきなり知らない場所にいたのか、彼女は呆然としつつ首を傾げた。 夢なのか、はたまた死後の世界というやつなのか。夢ならいいが死後の世界だとした... 2011.11.19 baby's-breath
あまつひと 第7話 歩み寄り(2) 水汲みで思わぬ展開になり、ミアディはほっと安堵の表情を浮かべた。 こんな風に、誰かと楽しく会話をすることが出来るとは思わなかったから。(良かった。ティニとも前のように話すことが出来るようになったし) 叩かれた頬が少しばかり痛かったが、それで... 2011.11.10 あまつひと
あまつひと 第6話 歩み寄り(1) 婚儀から数日たち、二人だけの生活もなんとか慣れてきた。 シュクルは仕事で呼ばれれば一、二日居ないこともあったし、エマが何かと顔を出してくれていたので、あまり二人で生活しているのだという実感はないが。 しかも、あれから二人は床を共にすることが... 2011.10.27 あまつひと
あまつひと 第5話 交わった視線 かろうじて夜が明ける前に、やっと祝宴が終わった。あれほど騒がしかったのに、今はわずかに虫の声しか聞こえないし、その場に明かりひとつもなかった。 ただ、宴の片づけが終わってないことから、あの喧騒が夢でなかったと分かる。 ミアディは最後のほうは... 2011.10.22 あまつひと
あまつひと 第4話 天つ人の婚礼-その後 ミアディはエマに新たな着物を着せられていた。 普段着より豪華なそれに袖を通すのにためらいを感じたが、普通の人の婚礼でもこれくらい着飾るのは当然だ、とエマに説得される。 普段は薄めの布でできた下着になるものを身に着け、その上にしっかりとした布... 2011.10.21 あまつひと
あまつひと 第3話 天つ人の婚礼-シュクル 一方、シュクルのほうは、後に着る服だけ渡されて放り出された。 この扱いの差はなんなんだと思ったが、この場合は仕方ないかとため息をついた。こういった場合、人に見られたくないのは女性のほうだろう、と無理やり納得したせいだ。 シュクルの家からは共... 2011.10.19 あまつひと
あまつひと 第2話 天つ人の婚礼-ミアディ シュクルが出て行ってしばらくすると、控えめに扉を叩く音がした。こんな格好でどうしようと思うものの、「開けてもいいかしら?」と問いかける声を聞いて、反射的に「はい」と答える。 それを聞いて静かに扉を開けて入ってきたのは、シュクルの母、エマだっ... 2011.10.18 あまつひと
あまつひと 第1話 天つ人の婚礼-はじまり それは、はるか昔のことだった。 まだ世界には秩序がなく混沌とした状態で、地上で、天空で、天つ神と大いなる魔と呼ばれるものたちが戦っていた。そのため、地上に生きる人々はその戦いに怯える日々を送っていた。 何の力ももたない人には、天つ神と魔の戦... 2011.10.17 あまつひと
ラ・ペルラ 033 爆弾投下 心にいつまでも残っていた記憶を吐き出すと、小さくため息をついた。 |蟠《わだかま》っていた月日を考えると、思ったより淡々と語れたなと思った。 でも、視線を落とすと、やっぱり口にすることに不安があったのか、カップを見るとお茶が揺れていた。 そ... 2011.09.15 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 032 過去 永遠に変わらない人の思いなんてない。 特にアスル・アズールのようなヤツは、それが激しい。多分、私が普通の女の人と同じようなことをしたら、あいつはいっぺんに目が覚める。いや、興味を失くす……というほうが正しいかな。 どちらにしても、自分の存在... 2011.02.08 ラ・ペルラ
NOVEL 今日も模索中 3 鳥遊里が信じられないといった顔で一歩後ずさると、棚に当たってガタッと音を立てる。 先程まで面白がっていたものが、完全に消え去っていた。「別に先生にどうこうして欲しいって訳じゃないんで安心してください」「あ、うん。なら、なんで話したの?」「先... 2010.04.12 NOVEL
NOVEL 今日も模索中 2 ちょうど部屋に入ったばかりだったので、背中に扉、目の前に鳥遊里。 そして先程の言葉。(もしかしなくても――この状態は普通なら危ないというのでしょうかね?) 思わず客観的に考える。 そしてその後、「別に思っていません」とだけ、短く答えた。「ど... 2010.04.11 NOVEL
NOVEL 今日も模索中 1 平凡などこにでもある普通の公立高校。 でも、平凡でもどこかしらに変わったものがあるのは常だろう。 この学校でも名物と呼ばれるものがいくつか――その内の一つが始まる。「|百花《ももか》!」 窓から入ってくる風に髪を揺らしながら歩いていた少女は... 2010.04.10 NOVEL
たとえばこんなシンデレラストーリー 第6話 シンデレラの幸せ。 空にはいくつかの細い雲がたなびいている。その澄んだ青空を見上げながら、わたしは、はぁ、とため息をついた。 すると、隣にいた白いふさふさした大型犬が、ウォンと、催促するように一声。「ああ、ごめん。ジョン。はい、残りのお肉」 そう言って、ジョン... 2010.03.10 たとえばこんなシンデレラストーリー
たとえばこんなシンデレラストーリー 第5話 シンデレラ、現実に戻る。 王子が花嫁を決めるためのパーティ。そのパーティに呼ばれたわたし、ティナ・オリファントは気づくと妙な状態に陥っていた。 どうしてそうなったのか、原因を突き止めようとしても、何が原因なのか分からない。 いや、あるとすれば、庭に出てアールのあの姿... 2010.02.12 たとえばこんなシンデレラストーリー
たとえばこんなシンデレラストーリー 第4話 シンデレラ、王子と話をする。 なんというか、あちこちから居心地悪い視線を感じる。 そりゃ、王子から一人だけ贈り物をもらったというのは、残っている人達からすれば色んな意味で興味を引くだろう。こんな感じでは寛げない、とばかりに、集められたサロンから早々に退室した。 出る時に... 2010.02.01 たとえばこんなシンデレラストーリー
短編 ある世界のややこしい関係のお茶会 白を基調にした、汚れひとつ見当たらなさそうな部屋に、ある時刻を告げる音が響いた。それを耳にした人物は、机に向かってペンを走らせていた手を止めた。「もう、こんな時間か……」 昼から数刻、ちょうど小腹が空く時間。いつもなら、側にいる者が茶を持っ... 2010.01.01 短編
NOVEL vs. Rd.1 - 先攻 - 古い木の扉は建てつけが悪くなっているのか、必要以上に重い。それを両手で押しながら開けると、中は明かりとりの窓からこぼれる光で中途半端な明るさ。でも勝手知ったる、という感じで、あたしはめくれた床に躓くことなく中を歩いていく。 ... 2010.01.01 NOVEL
たとえばこんなシンデレラストーリー 第3話 シンデレラ、ぐるぐる悩む。 ――面白いから、残るほうに入れておくね、ティナ・オリファント?―― アールの言った言葉はそのまま、わたしの将来を決めた。 そして現在、そのまま城に滞在している。「むかつくー……」 ちくちくと怒りを針に向けて、その勢いでドレスを仕立て直す。 ... 2009.12.19 たとえばこんなシンデレラストーリー
たとえばこんなシンデレラストーリー 第2話 シンデレラ、気に入られる。 肉を咥えた、もとい、肉を食べていた美形は、王城という場所に似つかわしくない態度と言葉遣いだった。 図太くなった神経のわたしでも、こういう時の対処法を知らない。 “それ”の言葉通り、驚いたといえば驚いたので、ここは素直に謝罪の言葉を受け取るべ... 2009.12.06 たとえばこんなシンデレラストーリー