BHVSCP

BHVSCP

番外編 呼び方

この国はスールという。隣国に比べたら領土は比較的小さい。けれど、ここでしか取れない特殊な鉱物のため、国は豊かといえた。 しかし、ある時王位継承の問題で国内は荒れた。まるで戦争でもしたのかと思われるほど酷かった。 それは国内だけでなく、その問...
BHVSCP

第10話 物語はハッピーエンドで〆るもの?

結局、自分の思うようにしか動かないユージアルを、どうにかしようなんて考えるほうが馬鹿らしくて、私はあっさり黙り込んだ。 その間もクリードさんとヒュウが文句を言ってくれているので、そちらに任せる。 私はというと、起きてしまったルチルの相手。お...
BHVSCP

第9話 プロポーズ?

この状況でこんなことをされるとは思わなかった。さすがに想定外のことばかり続くし、今もそれを上回る感じだったのですぐに反応できない。 だけど他に人がいることを思い出し、大きく見開いていた目を少し横にずらしてみる。 するとそこには呆れた顔のクリ...
BHVSCP

第8話 解決一歩手前?

なにがなにやら……この展開にまったく理解できずに黙っていると、扉が開いた。 そこにはクリードさんとヒュウ、そしてテルルさんに抱えられた子ども――私だと確認すると、急にテルルさんから飛び降りてこちらに向かってくる。「フォリーお姉ちゃぁんっ!」...
BHVSCP

第7話 窮地?

こういう時はどう対処すればいいのか、師匠は教えてくれなかった。 そもそも、師匠は男の人だから、こういう状況になることはないんだろうけど。 どちらかというと、拘束される前に逃げろと叩き込まれてたんだっけ。ああ、拘束された時の対処法もちゃんと教...
BHVSCP

第6話 裏事情

剣を握り締めて立ち竦んでいると、どこからかまた名前を呼ばれる。「誰!?」「フォルマリール様!」 ええと、この声は……「テルル……さん?」「大丈夫ですか?」「大丈夫というより……テルルさんこそ、なんでここに?」 この時間、テルルさんは他の事を...
BHVSCP

第5話 剣試合

ヒュウェット王子と剣を交えるのに、着替えるかと尋ねられたけど断った。「しかし、それでは動きにくいだろう?」「まあね。でもこういうのに慣れておくのもいいかなって」 なんかここから逃げられそうにないし、それならこの格好でもうまく立ち回れるように...
BHVSCP

第4話 お気に入り度は何パーセント?

「……今まで八つ当たりで物を投げられたことがないわけではないが、遠慮なく本を投げてくる女は初めてだ」 投げた本は見事に王子――ユージアルの顔に直撃した。角ではなく平面が当たったから痛みは少ないだろうけど、代わりにユージアルの顔全体が赤く染ま...
BHVSCP

第3話 和やかムード?

私はいったい何をしているのだろう? そう思いながら、窮屈なテーブルマナーで料理を食べる。いやこれは食べるとは言わない。美味しいのかもしれないけど、味が全然分からないほど緊張していて、細かく砕いた食べ物を飲み込んでいるだけだった。 しかも極力...
BHVSCP

第2話 シンデレラの作り方

泡いっぱいの浴槽に突っ込まれると、体勢を整えるまもなく押し込まれて、そのまま柔らかい布でごしごしと擦られる。さすがにこれだけ力を入れて熱心にされると、柔らかい布でも痛くなってくる。 溜まった十日間の垢を――いや、それ以上取るかのように擦られ...
BHVSCP

第1話 久しぶりの王都

「おめでとうございます!!」 明るい声と共に、パチパチパチといういくつもの拍手と、そしてそこに集まる人たちの笑顔――それが王都サフィリンに辿り着いた私に向けられたものだった。 いったい何事!? と思うのは仕方ないだろう。 ちなみに喜んでいる...