お話

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いつかどこかで。1

夜の帳が下り、町は各々灯りをつけて賑わいはじめる。 昼は割りと閑散としている一角が、夜になると賑わいはじめ、人々はそこへ集う。 そんな中、一人の男が同僚とともに足を踏み入れた。「ここさ。俺のお勧め」「ここか?」「ああ、飯がついて、歌と踊りが...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-8

旧世界の遺産――魔族の欠片と聞いても、リナはピンと来なかった。 神族も魔族も神話の中の物語であり、今はただ、その名残として遺跡が各所に残るのみだ。 あちこちに建っているスィーフィードを祀る神殿も形だけのもの。「……で、あなたはその魔族の欠片...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-7

「んじゃ、ちょっと荒っぽいけど、シルフィールには風の結界を張ってもらって、あたしが風の魔法で押し出す方法で行くわよ」「……え!?」「まあ、荒っぽいけど、|浮遊《レビテーション》でちまちま移動するよりはだいぶ早いと思うから」「……今さらっと言...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-6

「ですが、どうやって行けば……扉は閉められてしまいましたし……」「そうね。……と、ここからエルメキア城までどれくらいなの?」「そうですね。ここがランドール家ならそんなに離れてはいません。歩いてもほんの少しで着きます。五聖家の家はエルメキア城...
スレ二次短編

ニンギョヒメ

原作(SP→本編)
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-5

馬鹿にされちゃあ困るわね――そんな表情を浮かべてデビットとゼロスを睨みつけた。 リナは余裕ありげな顔をするが、本当は今の体調がすこぶる悪い。それにデビットはともかく後ろに控えるゼロスの力は予測できない。 だが、負けるわけには行かない。そのた...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-4

「大丈夫ですか? リナさん」「すみません……あまり、大丈夫、じゃ……」 いまだに眩暈のする状態で、それでもリナはなんとかシルフィールに答えた。 厚い石でできた牢獄のような部屋。ここがどこか分からないが、彼らは自分たちをすぐに殺す気がないと判...
ステップ

Step 5 「自覚なし?」

またやってしまった――そうして自己嫌悪に陥る。 今日は彼女とデートの予定だった。けれど仕事が終わらなくて、午前中は休日出勤をして仕事を片付けていたのだが、気づいたら待ち合わせの時間を二時間以上過ぎていた。 携帯を見ると何度か彼女から電話があ...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-3

アメリアの声に、ガウリイは僅かに光を見つけた気がした。「本当か!?」「はい! すみませんが地図を持ってきてください!!」「分かった」 ゼルガディスが素早く返事をして部屋から出ていく。 この部屋から執務室は近く、ゼルガディスは一枚の丸めた紙を...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-2

現在、城の主であるガウリイは、同じ五聖家であるゼルガディス、ルーク、シルフィールと客人アメリア、そしてリナと食事を摂ることになっていた。 朝食のとき、リナは無事に部屋まで戻れただろうか、と心配しながら席つく。 けれど食事が来ても、リナとシル...
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第3章 リナとゼロス、そして創世記-1

城で下働きをしている者たちの朝は早い。まだ完全に夜が明けていない頃から動き出す。特に城内の食事を一手に引き受ける厨房は、ピークの時は戦場のようになる。 今はまだ余裕があるのか、下働きの女性たちはパンを作るために生地を練ったりしている。 その...
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幕間 邂逅 出会い

アメリアとの出会い編。※ 魔法に関して少しだけネタバレ。
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-17

信じられなかった。 失くしたはずのピアスが、ガウリイの右耳に飾られていたことが。「うそ……」「嘘じゃない。確かにオレも最初は同一人物とは思わなかった。だってそうだろう? ゼフィーリア女王だった人が、かの国にない色をまとって旅人として目の前に...
くらげ社長と新米秘書の日常

その3 秘書の帰宅。

J.F.カンパニーの秘書であるリナの帰りは遅い。または精神的に疲れて帰ってきていることが多い。今日もコンビニで簡単に弁当を買いつつ、現在住んでいるワンルームマンションへと戻った。「ただいまー。って、言ってもしょうがないんだけどね」つい癖でた...
くらげ社長と新米秘書の日常

その2 J.F.カンパニー新商品説明会予行練習。

「当社新商品の『くらげん』でございます。見たとおりくらげの人形(?)ですが、ペットのようにかわいがれば懐きます。先ほど人形と申しましたが、有機物から製作されておりますので、元来の人形のようなぎこちない動きなどはございません。まるで生きている...
くらげ社長と新米秘書の日常

その1 J.F.カンパニー社長室の日常

「社長、いじけるのも結構ですがそろそろ仕事してください」「う…少しくらいいじけたっていいじゃないか」「だからってくらげに慰められてどうするんですか?」「くらげ…いいじゃないか。かわいくて」「かわいがるのは結構ですが、いい加減仕事に戻ってくだ...
くらげ社長と新米秘書の日常

03 「もっと私を褒めてもいいだろう」「不可能です」

それはリナが入社して二ヶ月経った頃の話だ。 リナはいつものように出社すると、ロッカーに私物を放り込んで給湯室に向かった。 この時間は給湯室にはすでに人がいる。社長であるガウリイと同期――要するに一緒に会社を立ち上げた仲間である――ミリーナと...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-16

――実はあいつはリナの前に別の女性を好きになっていた。  けれどその女性とは付き合うことも、滅多に会うこともできない状況だった。  だから、あいつは近くにいるお前を身代わりにしたんだと思う。 ベッドに腰掛けるリナの頭にはゼルガディスの言葉が...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-15

その日の夕食は暗殺者に狙われるというハプニングがあった割には明るいものになった。それは主であるガウリイから笑顔が絶えないせいだ。鼻歌でも聞こえて来そうなほどご機嫌なのが分かる。 ゼルガディスは帰ってきた時とまるきり違うガウリイの態度に、気に...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-14

リナはガウリイに詰め寄られて思わず口をぎゅっと引き結んだ。内心、ものすごく困っていた。 怪我をして倒れたのは覚えているが、次に目が覚めた時、どうしてガウリイが目の前に居るのか。 リナには自分の意識がないときに、どういうことが起きたのかまった...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-13

まだ明るい日差しが差し込む中、ガウリイは椅子から立ち上がってリナの頭の横に手を置き、そのまま体重をかけた。 間近で見るリナの顔に鼓動は高鳴り、そして心の奥から悪魔の囁きが聞こえる。 このままものにしてしまえ――と。「リナ……」 ガウリイはゆ...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-12

リナの怪我は深いわけではなかったが、肩口から胸にかけて鋭い刃物でざっくりと切られたような状態だった。 シルフィールとアメリアが慌てて『|復活《リザレクション》』で傷を癒したが、傷が広範囲だったため出血が酷く、血が足りず貧血を起こして気を失っ...
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第2章 自覚~思いが通う瞬間-11

こうして暗殺者たちと対峙しても、いるのは暗殺者のみ。それを雇った者は姿を現さない。 何度となく命を狙われているガウリイだが、その黒幕がいったい誰なのか、まったくわからない。 もちろん頭のいいゼルガディスも分からない。できれば生け捕りにして、...
くらげ社長と新米秘書の日常

02 「それで私に何をしろと」「座っているだけで」

リナが就職したJ.F.カンパニーは比較的新しい会社だ。 もともと社長のガウリイは大手商社の次男らしいが、大学に行っていた時に意気投合した仲間たちと立ち上げたのがJ.F.カンパニーだった。 仲間たちとの話し合いの結果、融資の件や人を魅了する点...