あまつひと 第9話 現在、何をすべきか 「ありがとう、母さん」「とりあえず、当分は一休みね。ミアちゃんと仲良くやるのよ」 エマの言葉にシュクルは「うっ……」と言葉に詰まる。「ちょっと、その反応は何なの? ミアちゃん苛めてないでしょうね?」「それは……」 シュクルは実家で仕事の報告... 2019.03.05 あまつひと
あまつひと 第8話 過去(再会) その日の昼過ぎ、シュクルは仕事を終え、新しい家に戻ることになった。 仕事の疲れが残っているため、少しでも休みたかったが、あの家でゆっくり休めたことがなかった。 別にミアディと仲が悪いわけではない。 ただし、仲がいいわけでもない。 最初よりよ... 2019.03.05 あまつひと
NOVEL vs. Rd.2 - 先攻 - “神使”とは“神の使い“の略であり、癒しの力を持つ者こと。 彼らは身近に居る人に何かあった場合、神使は出向いてでも彼らに癒しを行わなくてはならない。 それが、“神使”としての務めのひとつ。 ――ということで、俺は病に倒れた村の... 2016.06.21 NOVEL
baby's-breath 第10話 一時帰還(5) なんとなく心に|蟠《わだかま》りを感じながら、夕食を摂り、体を清める。 風呂は身を清めるもの――としていたが、優花が使用しているのは彼女個人のものと言っていい。そのため、浴室で体を洗って湯船に浸る。 宮の外でも衛生面に気を付けているのか、あ... 2016.03.30 baby's-breath
baby's-breath 第10話 一時帰還(4) 優花は今の時間を考えてから、談話室に向かった。このくらいの時間なら、宮に訪問する人も減り自然に談話室に人が集まる。 以前の優花は談話室に行ったことがない。談話室で話をするよりも先にすべきことがあったから。というか、ファーディナンドがあまり人... 2016.03.30 baby's-breath
baby's-breath 第10話 一時帰還(3) ファーディナンドの部屋から出る時、ふ、と優花は何かを感じた。(ん?) 優花は振り返って室内を見る。もしかして何か忘れたのかもしれない、と思って。でもそれが何なのか分からなかった。「どうかしましたか?」「あ……いえ、別に……」 ファーディナン... 2016.03.30 baby's-breath
baby's-breath 第10話 一時帰還(2) 「全く……あの方を留まらせ、私たちの名を平気で口にし、そしてさらにもう一人のあの方まで味方にしてしまった。今まで誰もあの方を動かすことは出来なかったのに……それでも、そう言うのですね」 これは褒められているのだろう、というのは分かる。 けれ... 2016.03.30 baby's-breath
baby's-breath 第10話 一時帰還(1) 次の日、優花とベルディータはリグリアの村をあとにした。 いろいろ思うところはあったが、これ以上二人が何かしてやれることもないと判断したためだ。 そのあと二人は聖水鏡宮に一時的に戻ってきた。 とはいえ、ベルディータの存在を知られるわけにはいか... 2016.03.30 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(6) 自分には一人の人の思いをすべて抱え込むなんて無理だと思っている。だからネレウスのことも逃げたと言っていい。 彼は自分のしたことを悔いていたけど、だからといってしたことが帳消しになるわけではない。勝手に許した後のエリナたちの気持ちを考えたら、... 2016.02.10 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(5) 話し終わると、ネレウスの身柄は一度領主の下へ行き、これからをどうするのか検討することになった。 優花はまだ疲れているだろうということで、そのまま部屋に留まる。一人でぼうっとしていると、しばらくしてベルディータが戻ってきた。「少し食べ物をもら... 2016.02.10 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(4) 嬉しいと思った優花は、頬が緩んでいくのを止められなかった。 目が細くなり、口端が上に持ち上がる。「ユウカさん?」 黙ったまま笑みを浮かべる優花に、村長が心配して尋ねる。「はい?」「顔が笑ってるぞ」 何を言われたのか分からず返事をすると、ベル... 2016.02.10 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(3) 話し終えた後、彼らは一様に黙り込んだ。 ベルディータもある問題が浮上してきたため、それに関して考え直さなければならない。その問題は優花がどうにか出来ることではなく、必然としてベルディータが片づけなければならない。 もともと、この世界の問題は... 2016.02.10 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(2) 間の悪いことに扉を叩く音がする。 でもここできちんと話をしておかなければ、後々引きずるかもしれない――そう考えて、優花は返事をするのに躊躇った。 けれど、ベルディータの方は気にしていない素振りで立ち上がると、扉に近づきゆっくりと開けた。扉の... 2016.02.10 baby's-breath
baby's-breath 第09話 変化(1) 目の前には心配そうなベルディータの顔。 優花の意識が戻ったのを確認したのか、はーっと深く息をはいた。 それを見てずいぶん心配かけてしまったことが分かった。「ごめん」「心配した」「うん。心配させちゃってごめんなさい」「もう……あんなことはしな... 2016.02.10 baby's-breath
薔薇庭園 番外編2 月日に合わせて変わる思い 欲しかったソレを偶然手に入れた。 けど、ソレを完全に手にすることが出来なかった。 ソレを手に入れる過程で、何か大事なことを思い知らされた気がして。 手に入れて自分のものにしようとしていたのに、気づくとソレを守る契約をしていた。 *** 「... 2013.10.05 薔薇庭園
二人の花嫁 二人の花嫁 10 脅しが功を奏したのか、殿下はティータイムにマリを呼んで、二人きりで話す時間を作るようになった。 短い時間だけど、前のように他の人もいる夕食タイムと違って、たどたどしくも二人は会話をして過ごしているようだった。 お茶から帰ってくるとマリの顔は... 2012.07.21 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 9 それから―― 特に変わったことはなかった。 何やってるのよ、二人とも……という苛立ちをよそに、相変わらずほのぼのとした会話を続けている二人に呆れ、あれこれ口を出すのをやめた。 それよりもマリの本格的な教育が始まるらしく、いろんな教師を紹介さ... 2012.07.20 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 8 泡が飛ぶバスタブの中で、マリの反応を窺っていると、マリの顔はどんどん赤くなっていった。「……ふーん、マリも殿下のこと好きなんだね」「なっ、そっ……そんなっ、こっ……」「その動揺しているところから丸わかりなのよ。マリちゃん」「うーーっ」 かわ... 2012.07.19 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 7 「ついでに保険じゃないけど、バレて面倒なことになったら、城から出してくれる?」「いいのか?」「まあ、当面の生活の保障さえあれば。今放り出されても困るけど」「わかった。俺の領地は割とここから離れてるから、そこで静かに住めるように手配しとく」「... 2012.07.18 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 6 さんざん二人の展開の愚痴をこぼした後、すっきりして部屋に戻った。 あー、思いきり騒ぐとストレス発散になるわ、なんて気楽な考えでドアを開けると、「リア! どこ行っていたの?」 と、いきなり飛びつかれた。 マリ……もうちょっと加減ってものを考え... 2012.07.17 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 5 「……と思うので、あたしの出番はなし。というか、その他大勢で別に問題ないけど?」 実際、気楽な状態でいいのよね。まあ、最初にお前はいらないって放り出されたら、さすがに楽観してられないだろうけど。 逆に大変なのがマリのほう。 殿下に相談した食... 2012.07.16 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 4 あの後、なんとか殿下の気持ちを切り替えさせてほっと一息。 しっかし、二十一歳という年にかかわらず、かなり初心なお人だったわ。 でもマリに対する気持ちはちゃんとあるみたいでほっとした――なんて思いながら部屋に戻るため、中庭にある回廊を歩いてい... 2012.07.15 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 3 ――といっても、いくら特別扱いされてても、すぐに殿下に話が出来るわけがないのだ。 そのため、身の回りの世話をしてくれる人に声をかけた。「あ、ヘルガさん」「なんでしょう、リア様」 ちょうど傍にいたのは、ヘルガ=リュンクベリという女性で、侍女と... 2012.07.14 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 2 通された部屋は召喚された人のために用意されたもののようだった。 要するに、女の子向けのかわいらしい部屋。 ぬいぐるみとかそういうものがあるわけじゃないけど、室内は淡い暖色系でまとめられていて、クッションとかが可愛らしいデザインになっている。... 2012.07.13 二人の花嫁