たとえばこんなシンデレラストーリー

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第6話 シンデレラの幸せ。

空にはいくつかの細い雲がたなびいている。その澄んだ青空を見上げながら、わたしは、はぁ、とため息をついた。 すると、隣にいた白いふさふさした大型犬が、ウォンと、催促するように一声。「ああ、ごめん。ジョン。はい、残りのお肉」 そう言って、ジョン...
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第5話 シンデレラ、現実に戻る。

王子が花嫁を決めるためのパーティ。そのパーティに呼ばれたわたし、ティナ・オリファントは気づくと妙な状態に陥っていた。 どうしてそうなったのか、原因を突き止めようとしても、何が原因なのか分からない。 いや、あるとすれば、庭に出てアールのあの姿...
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第4話 シンデレラ、王子と話をする。

なんというか、あちこちから居心地悪い視線を感じる。 そりゃ、王子から一人だけ贈り物をもらったというのは、残っている人達からすれば色んな意味で興味を引くだろう。こんな感じでは寛げない、とばかりに、集められたサロンから早々に退室した。 出る時に...
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第3話 シンデレラ、ぐるぐる悩む。

――面白いから、残るほうに入れておくね、ティナ・オリファント?―― アールの言った言葉はそのまま、わたしの将来を決めた。 そして現在、そのまま城に滞在している。「むかつくー……」 ちくちくと怒りを針に向けて、その勢いでドレスを仕立て直す。 ...
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第2話 シンデレラ、気に入られる。

肉を咥えた、もとい、肉を食べていた美形は、王城という場所に似つかわしくない態度と言葉遣いだった。 図太くなった神経のわたしでも、こういう時の対処法を知らない。 “それ”の言葉通り、驚いたといえば驚いたので、ここは素直に謝罪の言葉を受け取るべ...
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第1話 シンデレラ、お城へ行く。

「ねね、どう? 結構なモノでしょ?」 わたしは乗り出すようにして目の前のおじさんに自慢げに言った。「そうだねえ、これじゃあ、うーん……五千でどうかな?」「えぇ? 安いわ。最低でも八千も元手が取れるものだと思うけど?」 誤魔化されないから、と...