お話

ステップ

Step 3 「食と男女の関係」

久しぶりに来た遊園地には、新たなジェットコースターが追加されていた。他にもいくつか新しくなっていて、前に来たときと違い、新鮮さに溢れていた。 ガウリイは絶叫系に乗ってすっきりしたいと言っただけあって、そういうものばかりを選んで乗ることになっ...
ステップ

Step 2 「車」

「なあ、今度遊園地に遊びに行かないか」 始まりは突拍子もない発言だった。 この発言をしたのは、ガウリイ――バイト中に会った社会人の男の人。一言で言うと、よく食べるでっかい美形のにーちゃん。黙っていればモデルのようで、ナンパなんてしなくても女...
ステップ

Step 1 「出会い」

それはよく仕事帰りによるマッ●に入った時だった。「いらっしゃいませー」 高い、いつもより大きな声がオレを迎えた。カウンターの向こうには小さな女の子。高校生のバイトかな? と思った。赤い大きな目が好奇心いっぱいでオレを見ている。そこには、通常...
ステップ

Step 0 「実はLast Step」

あるマンションの一室で、あたしはずずーっとお茶を飲みながら、目の前の二人の会話を聞いていた。「本当にかわいらしいお嬢さんねえ」「だろう?」「ええ。料理も上手で、いいお嫁さんになるわね。良かったわね。ガウリイ」「ああ。母さんも気に入ってくれて...
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紅 17

少し冷たい風が二人を間を通り過ぎた。 シルフィールはリナが語った内容を反芻しながら考える。(どんな人でも構わないけど、ガウリイ様だけは駄目? どうして? どうしてガウリイ様だけ……。ガウリイ様の幸せを考えるなら、ガウリイ様の望むように側にい...
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紅 16

シルフィールがリナを見つけた時は、すでに夜の帳が降りて、月が優しく辺りを照らしていた。 町から少し離れたところで、リナは一休みでもしていたのか、岩に腰掛けて月を見ていた。 声をかけられるような雰囲気ではなく、シルフィールは一瞬躊躇ったが、そ...
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紅 15

「リナさんの中にはあの御方が出て行かれた後、虚が残りました。当然です。一部であれど、全てのものの母であるあの御方をその身に降ろして、なんの後遺症がないなどあり得ません」 リナ以外の四人は、ゼロスの言った意味が分からずに不思議な顔をした。「わ...
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紅 14

不意に歪む空間。 黒い塊が大きくなり徐々に人の形を取ると、それはリナに向かって声をかけた。「こんにちは。リナさん」「ゼロス……」 リナの目が大きく開いた。今の状況はリナにとってよくない状況だ。ゼロスとの約束を破り、ガウリイと共にいる。自然と...
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紅 13

まだ夕食には早い食堂は、四人以外に人はいなかった。 宿で働く人たちは仕込みに追われているのか、四人に目もくれない。ただ、厨房からスープの香りが漂ってきていた。「一体どういうことなんだ? リナの所在はここ二年分からず……見つかったと思えばこん...
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紅 12

ゼルガディスとアメリアは町の中を歩き回り二人の姿を探した。しかしそう簡単に見つかるわけもなく、二人は宿を隅から聞いていくことにした。 全ての宿でそれらしい人物がいなければ、二人はきっとこの町を出たのだろうと判断できる。時間はかかるが確実だと...
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紅 11

意識が妙に冴えて眠れない。そう思うと、リナは疲れが残っている体を起こして窓を見やった。 窓からは丸い月が優しい光を室内に注いでいる。夜を闇一色で染め上げないよう、月が辺りを薄く照らす。その明かりは焼けつく太陽とは違い、優しく包んでくれるイメ...
こんなシーンで20のお題

15 果てなき憧れ

私には妹がいる。 私より三つ下の妹は、大きな赤い目に可愛らしい顔立ちの娘だった。 私は妹が十五の時に、『世界を見て来い』という言葉で、まだ幼い妹をこの世界へと放り出した。 とはいえ、それまでに私は出来る限りのことを妹に教えたつもり。 そう、...
こんなシーンで20のお題

08 後ろから抱きしめる

あたしたちは囲まれていた。 森の中、あちこちに影が見え、その影が少しずつあたしたちを囲んでいく。 周りを囲んでいるやつらは、昨日吹っ飛ばした盗賊たちの残党に違いない。あんな三流を相手にするのは問題なかったけど、昨日のお宝を持っているのと、無...
こんなシーンで20のお題

16 追い詰める

晴れていて雲が少なく星々がよく見える夜だった。 サイラーグで魔王となったルークとやり合ってから、ガウリイの提案でリナの実家ゼフィーリアに向かっている途中の宿でのこと。 なんとなく不思議な気持ちで寝付かれなかったリナは、窓を開けそこから空を見...
こんなシーンで20のお題

01 押し倒す

俺はカルマート公国の中央付近にある町にいる。 それまではその北部にあるカンザスという所で古い遺跡の探索をしていた。そこには俺にとって有益なものはなかったが、結構珍しいマジック・アイテムを見つけた。 それは俺にとって特に必要なものでもなかった...
こんなシーンで20のお題

03 届かぬ声

――ルーク 目の前のよく知る人物は怒りに我を忘れ狂気に走っている。 関係ない人も巻き添えにして、あたりを血の色に染めていく。 ――ルーク、もうやめて! 私は一生懸命訴えたけど私の声は彼に届かない。 それもそのはず、私はもう死んでいるただの幽...
こんなシーンで20のお題

04 忠誠を誓う

久しぶりにセイルーン王宮に訪れたかつての旅の友――ゼルガディスにアメリアは嬉しそうに地図を見せて、あるところを指差した。「ゼルガディスさん、ここにゼルガディスさんの体を元に戻す方法があるかも知れないんです!」 久しぶりに会えたアメリアは旅を...
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紅 10

二年前の別れの日―― 明け方になると、リナは目を覚まして起き上がった。空はまだほんの少し白んだ程度で、まだ夜といっていい暗さだ。 隣にはまだガウリイが気持ちよさそうに眠っている。そういえば、長年旅をしながらこんな近くでガウリイの寝顔をゆっく...
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紅 9

サイラーグにいるシルフィールは朝一番で魔道士協会を訪れた。 いつもより早く起きて朝食を取り、仕事先に向かう前にガウリイから伝言がないか確認しに来たのだ。「おはようございます」「ああ、おはよう。シルフィールさん。今日は朝からどうしたんだね?」...
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紅 8

ガウリイはリナを探しながら道を歩いていた。探しにいった方向は間違いなくリナが向かった方向だ。けれど岩陰に隠れ眠るリナの姿を見つけることはできなかった。いつの間にかに次の町まで到着してした。(追い抜かしちまったか……?) その頃には丁度夜が明...
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紅 7

「はあ……せっかくのお布団……暖かいお布団……」 リナはブツブツ言いながら星明りの下歩いていた。 すでに夜も半ばで動物たちも寝静まっているのか、しんとした中リナのぼやきだけが聞こえる。 特に行くあてなんてなかった。セイルーンに行ってアメリア...
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紅 6

隣の部屋で小さな物音がしてガウリイははっと顔を上げた。 それまで、自分はなんであんなことをしたんだろうか、と頭を抱えていた時だった。 どうしてその小さな物音に気付いたのか分らない。 けれど何か思うところがあり、慌てて窓を開けた。すると、道路...
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紅 5

「……なんの用? ゼロス」 突然現れた人物に、リナの酔いは一気に覚めて、警戒心を顕にゼロスと呼ばれた人物を見た。「もちろん、忠告のつもりですよ。リナさん」「……」 笑みを絶やさないゼロスに対して、リナは反対に緊張していた。 それもそのはず、...
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紅 4

「どうしたのよ?」 リナは珍しく難しそうな顔をしたガウリイに尋ねた。 獣油が炎が揺らめく部屋で、リナは酒にあんまり強くなく、すでに半分酔っていて頬がほんのり赤く染まっていた。 素面のリナならガウリイの変化をすぐに察することができたのだろうが...