薔薇庭園

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番外編2 月日に合わせて変わる思い

欲しかったソレを偶然手に入れた。 けど、ソレを完全に手にすることが出来なかった。 ソレを手に入れる過程で、何か大事なことを思い知らされた気がして。 手に入れて自分のものにしようとしていたのに、気づくとソレを守る契約をしていた。  *** 「...
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番外編 その後の攻防

おなかすいた。 おなかすいた。 おなか、すいた。 ……………………………………………………………… ……………………………………………………………… ……………………………………………………………… ああ、なんか考えているのが馬鹿らしくなっ...
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第9話 ハッピーエンド?

うろたえる|秋月《しゅうげつ》は面白い。 でもそのせいで目的を見失っては元も子もなく、あたしはもう一度秋月に問いかけた。「あー……まあ、いつかは話すことなんだろうが……」 「だから今。はい即答。なんでも話すって言ったよね?」「……分かったよ...
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第8話 ズルくても一石二鳥

盛大な腹いせ――あたしを吸血鬼にしたせいで、極上の血を味わえなくなったからという――とやらはもうすぐ終わるらしい。もう一度、二人の姿を映した時は傷は増えていたけど、周りにいる人たちはほとんど居なくなっていた。 それに加えて、トリィは吸血鬼に...
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第7話 契約の中にある真実

心を落ち着かせるために、深く息を吸って今までのことを思い出してみた。 気づいたら、あたしってば秋月に何回も“嫌い”って言ってたっけ。 嫌いと言われることが、結構キツイもんだと改めて思った。同時に、あれだけ言っても気持ちが変わらない|秋月《し...
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第6話 答えを求める問い

この部屋に来て数十分の間に起きた出来事に呆然とし、そしてため息をついた後、トリィが軽く肩を叩いた。「トリィ……」「とりあえず、窓を閉めて居間に行きましょう。二人ともしばらく戻ってこないわ」「あ……うん、そうだね」「それと……」 ここで少し口...
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第5話 苦労しても身にならないこともある

夕食が終ってお風呂に入って、やっと自分の部屋に戻った。 誕生日以降、|秋月《しゅうげつ》が何かとちょっかいかけてくるので、居間でトリィとウェンさんたちと一緒にいる方が安全だった。 だけど寝る時は自分の部屋に戻らなくちゃならない。以前トリィに...
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第4話 徹底抗戦

あたし、|琴音《ことね》の十六歳の誕生日、そりゃもう大騒動だった。 養い親――|秋月《しゅうげつ》が吸血鬼だとその身をもって知らされて、そしてそのまま仲間にされて。 逃げだしたら同じ吸血鬼のトリィ――アーティストリィという女性に殺されそうに...
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第3話 あたしの命はいつまで持つのか?

ああ、くらくらして地面が波打っているように見える。当たり前だ、目眩が酷い。なんでもいい掴まるものが欲しい。 倒れそうになったので、少しだけ歩いてブロック塀によろめきながら手をついた。 のろのろとカメのような速度だったため、明るいうちに出たは...
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第2話 天変地異は何度来る?

昨日はあたし――|琴音《ことね》にすると天変地異に等しい出来事が四回も立て続けに起こった。 もう、すごい大ショック。今まで信じていたものが、一気にガラガラと音を立てて崩れていく感じ。 あ、天変地異が四回も起これば生きてるわけがないというツッ...
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第1話 人生、一寸先は闇。

人生、一寸先は闇――それが十六歳の誕生日にあたしが悟ったことだった。 あたしにとって一番古い記憶は、お腹を空かせてどこかの家の壁にもたれかかって座り込んでいるもの。 ああ、このまま死ぬんだ、って小さいながらに思った。だって、その時四日以上何...