お話 紅 28 リナはシルフィールが出ていった後、頬に流れた涙をふき取ると、外で待っているガウリイのところへと向かった。 本当なら、そっと一言だけお祝いを言って消えるつもりだったのに、シルフィールの思いを聞いてそれができなくなった。そんなことをしたら、シル... 2006.02.05 お話
お話 紅 27 それから二年後、青く晴れ渡った空に教会の鐘の音が響いていた。 礼服を着た人たちが教会の中に次々と入っていく。どうやら結婚式が行われるようだ。もうすぐ式が始まるのか、参列者たちはそれぞれ席に座り始める。 そんな中、一人の女性が花嫁の控えの間を... 2006.02.05 お話
お話 紅 26 ゼロスを滅ぼし当面魔族からの干渉もないだろうということで、結局この町でそれぞれ別れることになった。 シルフィールはサイラーグへと戻り、アメリアはゼルガディスとセイルーンへ戻るという。リナとガウリイは、リナの家族には話をしたほうがいいというガ... 2006.02.03 お話
お話 紅 25 「ガウリイ様を助ける方法が一つだけありますわ」 膝をついて放心するリナの肩に手を置いて、シルフィールは優しく語りかけた。「シルフィール……それは本当なの?」「はい」「どうすればいいの!? 教えて!」 リナはシルフィールにかぶりつくように尋ね... 2006.02.01 お話
お話 紅 24 不死の契約。 それは魔族などと行われ、不死の契約を交わした者はその魔族が生きている限り、不老不死の肉体を得ることできる。 以前アトラス・シティで不死の契約を交わしたものを見たが、文字通り何をしても死ぬことがなかった。 『契約の石』を壊すまで... 2006.01.30 お話
お話 紅 23 太陽がある程度高くなった頃、彼らは朝食を終え宿を後にした。 これから先のことを考えるために、セイルーンでじっくりと魔族への対策などを練ることに決めたからだ。 シルフィールも事の成り行きを見守るまではということで、そのままサイラーグへと戻らず... 2006.01.28 お話
お話 紅 22 朝、小鳥のさえずりによりガウリイがまず目を覚ました。 そして、目の前にいる小さくて愛しい存在に、ガウリイは嬉しくなって目を細める。「リナ」 名を呼んで、彼女の顔に優しく唇を寄せる。 まずは頬に数回。そして、額、鼻……数回口付けると、くすぐっ... 2006.01.17 お話
お話 紅 21 ガウリイはリナが目覚めぬよう注意を払いながら装備を外す。その後、自分の分も外すと、リナを抱き上げてベッドに入った。 安らかな寝息を立てているリナは目覚めることなく、ガウリイはそのままリナを抱きしめて眠りについた。 手の中にある温もりが愛しく... 2006.01.09 お話
お話 紅 20 後ろから抱きしめられて、その熱を感じて鼓動が早くなる。心臓がものすごく大きな音を立てているようにリナは感じた。 ガウリイはガウリイで、意気込んで入ってきたのはいいけれど、どう声をかけていいのか分からず、ただリナを抱く腕に力がこもる。 思うの... 2006.01.08 お話
お話 紅 19 四人の中に重い沈黙が流れた後、それを消すかのようにシルフィールが口を開いた。「リナさん、まだ隠していることがあったんですね……」「え? どういうことですか?」 リナを説得できたのだから、シルフィールはすべて知っていると思っていた。だからアメ... 2005.12.20 お話
お話 紅 18 なぜだろう。あれだけ皆から離れなければと焦っていたのに、全ての思いを吐き出したら、なぜかとても落ち着いた気持ちになれた。「でも、現にガウリイ様はリナさんのことを……」「……それは……」「知ってます? リナさん。ガウリイ様がサイラーグにいた二... 2005.11.15 お話
お話 紅 17 少し冷たい風が二人を間を通り過ぎた。 シルフィールはリナが語った内容を反芻しながら考える。(どんな人でも構わないけど、ガウリイ様だけは駄目? どうして? どうしてガウリイ様だけ……。ガウリイ様の幸せを考えるなら、ガウリイ様の望むように側にい... 2005.11.05 お話
お話 紅 16 シルフィールがリナを見つけた時は、すでに夜の帳が降りて、月が優しく辺りを照らしていた。 町から少し離れたところで、リナは一休みでもしていたのか、岩に腰掛けて月を見ていた。 声をかけられるような雰囲気ではなく、シルフィールは一瞬躊躇ったが、そ... 2005.10.30 お話
お話 紅 15 「リナさんの中にはあの御方が出て行かれた後、虚が残りました。当然です。一部であれど、全てのものの母であるあの御方をその身に降ろして、なんの後遺症がないなどあり得ません」 リナ以外の四人は、ゼロスの言った意味が分からずに不思議な顔をした。「わ... 2005.10.25 お話
お話 紅 14 不意に歪む空間。 黒い塊が大きくなり徐々に人の形を取ると、それはリナに向かって声をかけた。「こんにちは。リナさん」「ゼロス……」 リナの目が大きく開いた。今の状況はリナにとってよくない状況だ。ゼロスとの約束を破り、ガウリイと共にいる。自然と... 2005.10.20 お話
お話 紅 13 まだ夕食には早い食堂は、四人以外に人はいなかった。 宿で働く人たちは仕込みに追われているのか、四人に目もくれない。ただ、厨房からスープの香りが漂ってきていた。「一体どういうことなんだ? リナの所在はここ二年分からず……見つかったと思えばこん... 2005.10.15 お話
お話 紅 12 ゼルガディスとアメリアは町の中を歩き回り二人の姿を探した。しかしそう簡単に見つかるわけもなく、二人は宿を隅から聞いていくことにした。 全ての宿でそれらしい人物がいなければ、二人はきっとこの町を出たのだろうと判断できる。時間はかかるが確実だと... 2005.10.10 お話
お話 紅 11 意識が妙に冴えて眠れない。そう思うと、リナは疲れが残っている体を起こして窓を見やった。 窓からは丸い月が優しい光を室内に注いでいる。夜を闇一色で染め上げないよう、月が辺りを薄く照らす。その明かりは焼けつく太陽とは違い、優しく包んでくれるイメ... 2005.10.08 お話
お話 紅 10 二年前の別れの日―― 明け方になると、リナは目を覚まして起き上がった。空はまだほんの少し白んだ程度で、まだ夜といっていい暗さだ。 隣にはまだガウリイが気持ちよさそうに眠っている。そういえば、長年旅をしながらこんな近くでガウリイの寝顔をゆっく... 2005.08.24 お話
お話 紅 9 サイラーグにいるシルフィールは朝一番で魔道士協会を訪れた。 いつもより早く起きて朝食を取り、仕事先に向かう前にガウリイから伝言がないか確認しに来たのだ。「おはようございます」「ああ、おはよう。シルフィールさん。今日は朝からどうしたんだね?」... 2005.08.24 お話
お話 紅 8 ガウリイはリナを探しながら道を歩いていた。探しにいった方向は間違いなくリナが向かった方向だ。けれど岩陰に隠れ眠るリナの姿を見つけることはできなかった。いつの間にかに次の町まで到着してした。(追い抜かしちまったか……?) その頃には丁度夜が明... 2005.08.20 お話
お話 紅 7 「はあ……せっかくのお布団……暖かいお布団……」 リナはブツブツ言いながら星明りの下歩いていた。 すでに夜も半ばで動物たちも寝静まっているのか、しんとした中リナのぼやきだけが聞こえる。 特に行くあてなんてなかった。セイルーンに行ってアメリア... 2005.08.15 お話
お話 紅 6 隣の部屋で小さな物音がしてガウリイははっと顔を上げた。 それまで、自分はなんであんなことをしたんだろうか、と頭を抱えていた時だった。 どうしてその小さな物音に気付いたのか分らない。 けれど何か思うところがあり、慌てて窓を開けた。すると、道路... 2005.08.15 お話
お話 紅 5 「……なんの用? ゼロス」 突然現れた人物に、リナの酔いは一気に覚めて、警戒心を顕にゼロスと呼ばれた人物を見た。「もちろん、忠告のつもりですよ。リナさん」「……」 笑みを絶やさないゼロスに対して、リナは反対に緊張していた。 それもそのはず、... 2005.08.15 お話