ラ・ペルラ 014 対照的な二人 女だとバレないよう&アスル・アズール対策で、今日はいつもの服に上着を羽織っていた。 さらに気分的に眉尻を吊り上げて、いつもよりキリっとした表情をしてみて鏡でチェックする。 うん、大丈夫かな?「お待たせー」 確認してから食堂に戻ると、フィデー... 2008.04.24 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 013 朝から迷惑 久しぶりに安心できたせいか、朝までぐっすり眠りこんだ。 おかげでこの館の主であるフィデールと、昨日やって来たアスル・アズールとどんな話をしたのかなんで全く想像していなかった。 どちらかというと、扉をドンドンと叩く音が聞こえるまで――正確には... 2008.02.12 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 012 見えない鎖(フィデール) 百代目、ラ・ノーチェ国王は現在二十三歳の独身である。 彼に対して一番耳にする情報は、“変人”の一言に尽きる。 それもそうだろう。彼が王位を継いで二年と少し。その間、一度たりとも人の前に姿を現さない。現わさないというのは語弊がある。現わしても... 2008.02.11 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 011 変人認定(フィデール) 信じたくない事実が真実になってしまった――と頭を抱えたくなった。 よりにもよって彼女が“玉の乙女”とは――もっと女らしい人なら良かったのに、というのが本音だ。「いや、あの……できれば『引っかかったな』とか言って欲しいんですけど。いつもの貴方... 2007.11.28 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 010 どうしても勝てない(フィデール) 雑事を片付け自室に戻ったのはかなり遅い時間になってしまった。扉を開けて明かりを灯すとふう、とひと息ついた。 それにしてもあの二人の組み合わせは心臓に悪い。最強の上、最凶コンビではないじゃないですかー! と悲鳴を上げて逃げたくなる。 いやいっ... 2007.10.03 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 009 郷に入りては郷に従え 唇は触れただけ。恋人とのキスのようにそれ以上深くなることはなかった。 すぐに離れてある程度の距離を取る。「ま、ここにいる間、口説こうと思うんでこういう意味でよろしくな」「ななななな……なにをするっ!?」「男でも女でも押し倒すほうが好きって言... 2007.06.15 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 008 お熱い夜はお好き? カチャカチャといくつか小瓶をあけて、少しずつ茶葉を取り出してポットに入れていく。これとこれとこれ。そしてきわめ付けがこれ、と。うん。こんなもんかな。 蒸らすのに時間がかかるので、沸いたお湯をフィデールの顔を見ないうちに入れた。言伝があるくら... 2007.04.08 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 007 国王は変人である 真面目な顔でアスル・アズールが答える。 ラ・ノーチェ国王は“変人”だと。「そりゃまた……なんと言っていいか……」「まあ、|政《まつりごと》に関して問題はないんだがな。だから国民もある程度は目を瞑っているというか」「はあ」「変人というと変なも... 2007.03.07 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 006 世の中いろんな縁がある 思い切り声を上げるのはとても気持ち良かった。数日振りで気分良く歌ったので、ストレス解消できた。 歌い終わった時は、周りからパチパチと拍手をもらった。 あ、やばい。歌った爽快感で我を忘れてたよ。目立ちたくなかったのに。「上手だな」 見ると笛を... 2007.02.27 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 005 元の生活より優雅なのだ 異世界に来て数日。 生活は悪くない。大国の王宮ってことで、食べ物はいいし、寝る部屋もふかふかのお布団がある。 フィデールが住んでる離宮から出なければ、余り人と会うこともなく、詮索されることもない。 それにフィデールは最高祭司だけあって、離宮... 2007.02.25 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 004 とりあえず事情を聞く 人というものは、先に騒がれると後から騒ぐことって出来ないと思う。機先を削がれるというか、ね。パニックになっている相手を見てると、だんだん冷静になってくるみたい。 ということで、フィデールのおかげで異世界に来ちゃったってのに意外と冷静な私。 ... 2007.02.25 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 003 どうやら間違えられたらしい ひょんなことから異世界に来てしまった私。でもどうやら帰れるようで、一安心。 そうなると今度はそれまでの間、ここで生活できるように情報収集しないとね。「そうですね。まず、この世界のことからお話しましょう。あ、お茶でも入れましょうか?」「あ、頂... 2007.02.25 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 002 気づくと異世界だった 一人で騒いでいる男に、私は軽くぺしんと叩く。「うるさいっ」 いい加減現実に戻ってくれ。でないと話が全然見えないんだ。それに早く戻ってバイトに行かなければ、私の夕飯のおかずが一品どころか二品、三品と少なってしまう。万年欠食児童の私には死活問題... 2007.02.22 ラ・ペルラ
ラ・ペルラ 001 叩かれて階段落ちた 「うわー! 間に合わない!!」 女にしては長身の体で細い歩行者用の道を一生懸命走る。 早くしないと電車に乗り遅れるっ! この辺は少々田舎なので、電車は十分に一本の割合。先に言っておくけど、十分後だとバイトに遅れてしまう可能性が高いのだ。 ... 2007.02.22 ラ・ペルラ