二人の花嫁 二人の花嫁 10 脅しが功を奏したのか、殿下はティータイムにマリを呼んで、二人きりで話す時間を作るようになった。 短い時間だけど、前のように他の人もいる夕食タイムと違って、たどたどしくも二人は会話をして過ごしているようだった。 お茶から帰ってくるとマリの顔は... 2012.07.21 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 9 それから―― 特に変わったことはなかった。 何やってるのよ、二人とも……という苛立ちをよそに、相変わらずほのぼのとした会話を続けている二人に呆れ、あれこれ口を出すのをやめた。 それよりもマリの本格的な教育が始まるらしく、いろんな教師を紹介さ... 2012.07.20 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 8 泡が飛ぶバスタブの中で、マリの反応を窺っていると、マリの顔はどんどん赤くなっていった。「……ふーん、マリも殿下のこと好きなんだね」「なっ、そっ……そんなっ、こっ……」「その動揺しているところから丸わかりなのよ。マリちゃん」「うーーっ」 かわ... 2012.07.19 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 7 「ついでに保険じゃないけど、バレて面倒なことになったら、城から出してくれる?」「いいのか?」「まあ、当面の生活の保障さえあれば。今放り出されても困るけど」「わかった。俺の領地は割とここから離れてるから、そこで静かに住めるように手配しとく」「... 2012.07.18 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 6 さんざん二人の展開の愚痴をこぼした後、すっきりして部屋に戻った。 あー、思いきり騒ぐとストレス発散になるわ、なんて気楽な考えでドアを開けると、「リア! どこ行っていたの?」 と、いきなり飛びつかれた。 マリ……もうちょっと加減ってものを考え... 2012.07.17 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 5 「……と思うので、あたしの出番はなし。というか、その他大勢で別に問題ないけど?」 実際、気楽な状態でいいのよね。まあ、最初にお前はいらないって放り出されたら、さすがに楽観してられないだろうけど。 逆に大変なのがマリのほう。 殿下に相談した食... 2012.07.16 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 4 あの後、なんとか殿下の気持ちを切り替えさせてほっと一息。 しっかし、二十一歳という年にかかわらず、かなり初心なお人だったわ。 でもマリに対する気持ちはちゃんとあるみたいでほっとした――なんて思いながら部屋に戻るため、中庭にある回廊を歩いてい... 2012.07.15 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 3 ――といっても、いくら特別扱いされてても、すぐに殿下に話が出来るわけがないのだ。 そのため、身の回りの世話をしてくれる人に声をかけた。「あ、ヘルガさん」「なんでしょう、リア様」 ちょうど傍にいたのは、ヘルガ=リュンクベリという女性で、侍女と... 2012.07.14 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 2 通された部屋は召喚された人のために用意されたもののようだった。 要するに、女の子向けのかわいらしい部屋。 ぬいぐるみとかそういうものがあるわけじゃないけど、室内は淡い暖色系でまとめられていて、クッションとかが可愛らしいデザインになっている。... 2012.07.13 二人の花嫁
二人の花嫁 二人の花嫁 1 あたし、|佐藤《サトウ》マリアは、友だちのマリ――|佐東《さとう》まりあと二人で異世界に飛ばされた。 いや違う。呼ばれたほうが正しいみたい。 ライトノベルなどで見る『異世界召喚』という言葉が浮かぶ。そりゃそうだ。あたしたちの周りには魔法陣ら... 2012.07.12 二人の花嫁